高気密高断熱住宅の断熱材と気密性能4つの誤解と実際

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インターネットにはたくさんの情報があります。家を建てるにあたりご自身で勉強されている方も多く、お客様からいろんな意見を伺うことがあります。

一方、インターネットの情報のすべてが正しいわけではありません。中には、首をかしげたくなるようなものもありますし、偏ったものも少なくありません。その中でも、特に誤解が多いのが、断熱材や気密性能に関する情報です。

近年、高気密高断熱という言葉がテレビCMなどで多く見聞きするようになりました。最近では、ローコスト住宅でもうたっています。2020年の建築基準では省エネ性能が求められますから、当然の流れかもしれません。それだけに、多くの人が断熱性能や気密性能を気にするようになりました。

そこで、この記事では、「断熱材と気密性能の理想と現実」と題し、一般的によくある誤解と、実際について見ていきます。

よくある高気密高断熱住宅の断熱材と気密性能の誤解

断熱材や工法について、あるメーカーでは「外断熱のほうがいい」といい、あるメーカーでは「内断熱の方がいい」という意見があります。また、ある工務店では、「高気密高断熱は危険」といい、ある工務店では、「高気密高断熱は安全」といいます。いろんな意見があるのは当然としても、これでは、何を信じればいいのか分からないですよね。中には、「それは誤解ですよ」という情報もあります。

そこで、よくある断熱材と気密性能の誤解についてまとめてみました。

  • 内断熱より外断熱の方が断熱性能が高い
  • グラスウールより発泡ウレタンの方が断熱性能が高い
  • 内断熱は壁内結露する/外断熱は結露しない
  • 高気密住宅は空気が入れ替わらず、健康に悪い。息苦しい

では、一つひとつについて見ていきましょう。

断熱材と気密性能の実際

内断熱より外断熱の方が断熱性能が高い?

断熱性能は内断熱より外断熱のほうが断熱性能が高いとは言えません。なぜなら、断熱性能は「断熱材の性能と厚み」と「正しい施工」によって決まるからです。

ちなみに、内断熱とは、断熱材を柱と柱のすき間に入れる方法、外断熱とは、断熱材を柱と外壁の間に入れる方法です。

内断熱と外断熱は、多少のメリット/デメリットはありますが、これらは、工法の違いであって、「外断熱だからといって、内断熱よりも断熱性能が高い」というわけではありません。外断熱でも断熱材の性能と厚みが低ければ断熱性能は低く、内断熱でも断熱材の性能と厚みが高ければ断熱性能は高いです。また、断熱材が偏ったり、しわが入ったりしていれば断熱性能は低くなり、均一に施工すれば断熱性能は高くなります。

グラスウールより発泡ウレタンの方が断熱性能が高い?

断熱性能は、断熱材の種類だけでは決まりません。同じ厚みならグラスウールよりも発泡ウレタン(充填も含む)のほうが断熱性能は高いですが、断熱性能が高いか、低いかは、断熱材の種類ではなく、厚みも含めたトータルで決まります。厚みがあればグラスウールのほうが断熱性能が高い場合もあります。

例えば、次の断熱材は同じ断熱性能です。

  • グラスウール 高性能 40K
  • ビーズ法ポリスチレンフォーム A種保湿板 特号
  • 押出法ポリスチレンフォーム A種保湿板 2種
  • 硬質ウレタンフォーム 吹付け A種2
  • 硬質ウレタンフォーム 吹付け A種1
  • ポリエチレンフォーム A種保湿板 3種
  • フェノールフォーム A種保湿板 2種2号

断熱性能が同じと言える理由は、熱伝導率が0.034と、すべて同じだからです(詳しくは、知っておこう!断熱材の9つ種類と性能比較をご覧ください)。

ちなみに、丸山工務店で扱っているFPパネルの熱伝導率は0.024~0.020スーパーウォールは0.028~0.023です(数値が低いほうが断熱性能が高い)。

内断熱は壁内結露する?

外断熱だからといって壁内結露が起きないわけではありませんし、内断熱だからといって壁内結露が起きるというわけでもありません。外断熱でも内断熱でも、施工方法が悪ければ壁内結露は起こります。屋内側に防湿気密シートをきちんと施工すれば、壁内結露は防げます。

また、丸山工務店で扱っているFPパネルは柱と柱の間にウレタンフォームが充填してある内断熱ですが、水に浮くほど水や湿気に強く、すき間なく充填されているため内部結露の心配はありません。50年間無結露を保証しています。

高気密高断熱は空気が入れ替わらず健康に悪い?息苦しい?

高気密というと、イメージ的に空気が入れ替わらない印象があります。そのため「健康に悪く、息苦しい」という歪曲した情報もあります。

高気密高断熱住宅では24時間計画的に換気するシステムがついています。1時間で部屋の空気の半分が入れ替わるように、建築基準法で定められています。

逆に、高気密でない住宅の場合、すき間から空気が入ってきてしまうために、室内の空気を計画的に入れ替えることができません。

感覚ではなく数値を信頼する

高気密高断熱について、いろんな情報がありますが、いずれも感覚的だったり、「〇〇と言われている」という情報が多いように感じます。

もっとも分かりやすいのは「数値で示したもの」ではないでしょうか。たとえば、C値(相当すき間面積)、Q値(熱損失係数)、UA値(外皮平均貫流率)は、気密性や断熱性を数値として表したものです。これなら、感覚ではなくデータとして納得感がありますよね。

また、高気密高断熱に力を入れているハウスメーカーは、一棟一棟気密性能や断熱性能を測定しています。こういったデータに基づいて判断するのも、情報に惑わされない一つの方法だと思います。

まとめ

高気密高断熱住宅のよくある誤解について見てきました。

高気密高断熱住宅は近年になって注目を集めるようになりましたが、元々は北海道など、寒い地域の冬を快適に過ごす方法として考えられてきました。その成り立ちは1950年代に施行された北海道防寒住宅建設促進法にさかのぼります。当時は内部結露・表面結露など、さまざまな問題があったそうです。

けれども、改良が重ねられ、現在は省エネの観点からも、高密度高断熱の流れになっています。近年の技術ではなく、長い歴史の中で培われた技術です。現代はたくさんの情報があり、「これはいい」「あれはダメ」のように言われることが多いですが、大切なのは、細かな工法の違いよりも、目的と意味を知ることと、情報に振り回されないことだと思います。

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